実はこれから? 懐かしのゲーミフィケーション

ども、むーです。
Facebookのタイムライン見ていたら懐かしいワードが目の飛び込んできたので、ちょっくら書いてみます

懐かしのゲーミフィケーション

件のリンクがこちらです。

UX MILK | ゲーミフィケーションに向けた3つのステップ
https://uxmilk.jp/74570

もうかれこれ6年くらい前ですかね? このワードがバズり、あっという間に消えていったの。
なので、皆様の中でも「あ~あったねぇ~」って感じではないでしょうか?

僕自身この言葉には深い思い入れがあり、しかも今でも活用している手法です。
そして、ディレ協に入るきっかけもまた、このワードが関係していたりもするのです。
なので、ちょっとした解説と共に、色々書いて見たいと思います。

役に立つのか? ゲーミフィケーション

その答えは「はい、とても」です。
これは別段ゲーム業界に限ったことではなく、Webサービスやアプリ開発にとって今でもかなり実践できる手法です。

ただ、この手法を知って色々やってく内に、これじゃなくね? という感覚はついて回っていました。
(ぶっちゃけ、知った当初からですが)

その辺りも交えての解説と行きましょう。

そもそものゲーミフィケーション

上記リンク先では、ゲームフィケーションは下記のように説明されています。

ゲーミフィケーションは、ゲーム的な仕組みや目標設定をデジタルな体験に取り入れる手法であり、ゲームとは異なるものです。

さて、上の引用で最も大切なキーワード、どれかわかりますか?
答えは「目標設定」です。

多くのゲームには「勝ち」という目標が設定されています。
すごろくなら、一番にゴールする。
トランプの大富豪なら、手元のカードを一番早く失くす。
RPGならラスボスを倒し、マリオのようなアクションゲームならステージのクリア、と言った具合ですね。

そのため、多くのゲームは「勝つ」という体験に向けてのモチベーションの維持や、様々な手段(ルール)が用意されています。

とりわけ、画面を使用するデジタルゲームでは、目的達成に集中できる様々な施策が講じられてきました。

ゲーミフィケーションとは、こういったユーザーの目的達成のための手段をゲームから拝借し、活用しようという「コミュニケーションデザイン」のひとつなのです。

ゲームニクスとゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションの話をすると、ゲームニクスという言葉が出てきます。

ゲームニクスとは、勝つという体験=目標の達成のために集中し、必要な手段をわかりやすく伝えるために、どのように情報を設計し、それをどのように伝えるか? を考える際に用いられる手法の一つです。

いわば、ゲームニクスはIA(Information Architect)やUIの領域と言えます。

これまで僕もゲーミフィケーションに関する資料を読み、セミナーにも参加してきましたが、どちらかというとこのゲームニクス寄りの話題が多かったように感じます。

先程のリンク先でも入門の一端として目的や目標の多段化、リワード(=報酬)、ランキングを紹介していますが、これらもゲームニクスの領域に入るものです。

逆に言えば、ゲームニクスはこれほど利用価値が高いものであり、ディレ協でもセミナーが開催されました。

【セミナーレポート】サービスコンセプトとロジックに基づいたUI設計の基本と実践
https://www.direkyo.com/20180624-gmsem-report

教科書とも言うべき参考になる本も出ています。

ビジネスを変える「ゲームニクス」
サイトウ・アキヒロ

これはこれで、改めて目を通しておくのをおすすめします。

ゲーミフィケーションのあり方

では、ゲーミフィケーションとはなにか?
上記のサイトではエンゲージメントを高める、といった説明がされていました。
僕もこれには同意です。なのでもう一歩進んで説明します。

ゲームには勝ちがあれば、負けも存在します。

ゲームに於いて負けという状況は避けるべきものではありません。むしろ、ゲームをより深く楽しんでもらうためには「美しい負け方」と「そこから学べる何か」を用意できるかどうかが、ゲームデザイナーやレベルデザイナーの腕の見せ所です。

Webサービスやサービス系アプリに於いては一見、負けが存在しないように思えます。
ですが、やっぱり負けは存在します。

目的を達成できなかった、という状況が、ユーザーにとっても提供側にとっても負けとなります。

ゲーミフィケーションは、ゲームやサービスとユーザーとの関係性をどう構築するかという、コミュニケーションデザインの1つです。

であるならば、勝ちに集中させるだけではなく、負けてしまった=目的達成に失敗してしまった時のフォローや、どうやったら目的達成に近づけるかというコーチングと言った施策が必要です。

逆に言うと、リワードやランキングに於いて、フォローやコーチングが不十分だと離脱の可能性が高まります
「ランキング上げるには、何すりゃエエねん?」
「後ちょっとでリワードもらえますって、頑張るしか無いの?」
という感じですね。
人気ゲームなら様々な攻略サイトが参考となりますが、サービスに於いては果たしてどうでしょう?

ゲームを作る際に必ず必要となるのが「勝ち」という状況であれば、必然的にルール上の「負け」という状況も生まれます。
ただ、こうしてルール的に目標達成=勝ち、達成失敗=負けという状況が想定できるならば、負けという状況に対するフォローやコーチングは可能だと考えています。

ゲーミフィケーションとは、サービスに於いて勝ちと負けと言う状況をルールとして明確に定義し、その上で負けてしまった場合のフォローや、さらなる勝ちへのコーチングという手法を持って、ユーザーとサービスの関係性を適正化するための手法なのです。

とは言え、負けという状況は場合によってはパターンが多く複雑化するため、実践が難しいというのも現状なのです。

なのですが……

AIの可能性

こういった複雑化するパターンの解析に対して、AIという存在は光を当ててくれます。

流石にAIで何でも解決というわけには行きませんが、それこそ活用の仕方としては様々な可能性があり、より充実したコミュニケーションが作れるのでは?と考えています。

AIも、そしてUXデザインやUI設計、IAにおいても、様々なナレッジが共有されてきました。

もう一度ゲーミフィケーションを考え直すには、良い時期が来たのではないでしょうか?

この記事を書いた人

事務局長:中村 貴弘