企画会議の社窓から:ゲーム-01

昨年末ゲーム業界からIT業界に戻ってきたむーと申します。

企画に長く携わってきた経歴上、「なにやるの?」を考えることからプロジェクトに参加することが多いわけですが、業界や対象とする物によって、企画会議の色も当然違いがあるわけです。

まずは、あまり参加する機会が少ないのでは?と思われる、ゲーム業界の企画会議からご紹介しましょう。

(※:すべての会社、企画がこうだと言う訳ではありません。そこはご注意を)

己のさらけ出し合い

ゲームの企画会議は
「自分はこれが面白いんじゃ!!」のぶつけ合いです。
なので、己のさらけ出し合いになります。

ゲームは面白くなければ意味がない。
じゃあ、面白いこと考えようぜとなるわけですが、それぞれの趣味嗜好が異なるので、色々な立場から色々な「面白い」が出てきます。

こういう歯ごたえのあるゲームが好きだ。
少ない情報から試行錯誤するのがいい。
やっぱ萌えですよ。
硬派な世界だって良いもんだ。
作り手の意図と反したやり方を探すのが好き。
共闘して仲良くなったやつと、殺しあいたい。

「それ、まとまるの?」って思われる方、多いのではないでしょうか?
はい、まとめるのは大変です。

が、こういった企画会議が開かれないゲーム、やっぱり面白くありません。

プレイスタイルや楽しみ方を強制されるゲーム、やろうと思います?
少しでも多くの楽しみ方が出来るゲームのほうが、ワクワクしませんか?

必要なのは、エッセンスの出し合いなのです。

更に重要なのは、まとめる際の情報。
少しでも多くの「面白そうだな」を刺激するためには、どう言う人が、どんな楽しみ方しているのか?と言う情報です。

だからこそ、
自分はこう言う人間である、
そしてこれが面白いのだ!!
と言うさらけ出し合いこそが、求められるのです。

それをまとめるプロデューサー

このゲームはこれが面白いのだ!を決める。
ゲームプロデューサーとは、そういうお仕事。
そして、自分の好き嫌いで決めないといけないのも、ゲームプロデューサーのお仕事。

しかし、自分の経験が狭かったら、それってどうでしょう?

どんな人が、どんな事を、どんな風に楽しんで居るのか?
プロデューサーに限らずゲームの企画に携わる人は、この情報や経験をひとつでも多く知る必要があります。

プロデューサー視点では更に一歩踏み込み、

「こう言う楽しみかたして居る人は、どれだけ居るのか?」と言う、定量的な判断も必要となりますが、

それより前に「何をどんな風に楽しんで居るのか」と言う、定性的な理解の方が重要です。

なぜならゲームは、イラスト、グラフィック、音、アニメーションといった大量のコンテンツを寄り集めて作るもの。
そしてその、ひとつひとつのコンテンツの質は、定性的な理解があってこそ判断できるものなのです。

求める人が多いからそこに合わせればいい、という決め方は最後の手段です。

だからこそ、定性的な理解をより深めるためにも、
少しでも多くのメンバーが己をさらけ出し合った、自分はこれが好きなんだ! の本質を拾い集める必要があるのです。

じゃあ、ゲームディレクターは?

ゲームディレクターの仕事は、プロデューサーに決めてもらうこと。

スタッフからの「プロデューサーが決めた面白さは、こうじゃなきゃ伝わらない!」をひとつのゲームとしてまとめ、「これがあなたの求める面白さです! さあどうですか?」と決断を促す事です。

では、企画会議においてゲームディレクターはどう振る舞うのでしょう?

それは、次号へと続きます。

この記事を書いた人

事務局長:中村 貴弘