そのペルソナ、作っただけで満足してない?ターゲット設計をより深いものにする合言葉「ナナリハ」とは【講座レポート】

こんにちは、日本ディレクション協会広報部副部長の鈴木です。11月28日(土)に行われた「0からのWebディレクション講座〜設計編〜」の内容をお届けします。

講師は日本ディレクション協会副会長であり第一線で活躍するWebディレクターの本間和城さん。

Webサイトの設計と聞いて、「クライアントの要望に合わせて、ターゲットを決めて、伝えたいことを盛り込めばいいんでしょ?」と思うかもしれません。確かにその通りかもしれません。

でも、それで本当に伝えたいことは伝わるのでしょうか。そもそも、伝える相手は合ってるのでしょうか。

「そのWebサイトで本当に伝えるべきこと」を導き出し、作って満足のペルソナを「使える」ペルソナに変えることで、初めてWeb制作のスタート地点に立てる。今回はそんなセミナー内容の前半部分をレポートにしました。ぜひご覧ください!

そもそも「Web制作」って何だっけ?

「Web制作の仕事って何をするの?」と聞かれたとき、さまざまな答えが出てくると思います。Webサイトをつくること、伝えたいことをWeb上で広めるためにページをつくること…では、根本的には何を実現することなのでしょうか。

たとえばクライアントワークであれば、こうなるでしょう。

「クライアントの『目的』をWeb上で最大限提供するための成果物をつくること」

やってしまいがちなのが「クライアントからの要望だから」と、本当に達成するべきことを考えずに作り始めてしまうという状況。

しっかりとヒアリングし、ゴールを考え、Webサイトを設計をし、目的達成まで導かなければなりません。それがWebディレクターの仕事。

「誰かに」「物事を伝え」「行動を起こさせる」仕組み=Webサイト

よく聞くのは「とりあえず見た目良く」「今っぽい見せ方で」なんて言葉。

今っぽくすれば人が来て、伝わって…なんてことが本当なら、すべてのWebサイトが流行を取り入れれば目的達成できちゃいますからね? そうですよね? だったら苦労しないわって話ですよねホント。

Webサイトを「設計」するというのは

「誰かに」「物事を伝え」「行動を起こさせる」ための仕組みをWeb上に用意すること

です。

つまり、「伝えたいターゲット」「伝えたいこと」「行動を起こさせるための仕組み」がそろっていなければ、そのWebサイトは機能しないというわけ!

ターゲットを決める前に大切な「コンセプト設計」

Webサイトの設計は流れに沿って分解すると、

「理想ゴール(コンセプト設計)」
「誰に(ターゲット設計)」
「どうさせる(導線設計・感情設計)」
「何をする(仕様設計)」

と大きく分けられます。どこかを雑にすると全部パーになるからね!

「クライアントから言われたから」「RFPがあるから」「きちんと調べたから」と、Webサイトで伝えるべきことを考える段階で少々思考停止していること、ありませんか?

伝える人を決める前にまず、伝えること自体が本当に合っているかを考える必要があります。

たとえば「店舗への来店促進」「キャンペーンへの応募増」「商品認知」…などなど。何のためにWebサイトをつくるのか、Webサイトを使って何をしたいのか確認しますよね。これがないと、何をしたいWebサイトなのかがわからないですから。

では、どのようにしてWebサイトの「コンセプト設計」をしたらいいのでしょうか。

大事なのは「独自資産」と「強み・ユーザーへの価値」をはっきりさせること

先ほどの「Webサイトを使って何をしたいか」に対し、まず洗い出さなければならないのは「独自資産」

たとえば日本ディレクション協会であれば「これまでのセミナー・ミートアップ参加者を中心に構成する約2,000名のコミュニティがある」「第一線で活躍する講師陣がいる」などが資産にあたります。

つまり、ブランド力や企業の社会的イメージなど、「ほかの誰にも負けないこと」。

この独自資産を「強み・ユーザーへの価値」へ変換する必要があります。ディレ協であれば…

「約2,000人と一緒にWebディレクションを学ぶことができる!」
「第一線で活躍する講師から学び、仕事に生かすことができる」

といった感じでしょうか。「強み・ユーザーへの価値」というのは、「独自資産の上に成り立つ『ユーザー目線』の言葉」のことです。

「コンセプト設計」に関してまとめると…

・そのWebサイトを使って何をしたいのかを明確にし

・その企業が持つ独自資産を洗い出し

・「強み・価値」という武器に変えたうえで

・その武器を最大限生かし、理想に近づくためのWebサイトを考える

ということ。なんとなーく伝えたいことがあって、ペルソナばっかり細かく決めるなんてことのないよう、まずはきちんとコンセプト設計を行うことが大切です。

作って終わりではなく”使えるペルソナ”にする合言葉「ナナリハ」とは

Webディレクターなら誰しも一度はやったことのあるだろう「ペルソナ設計」。

漠然とした”ユーザー像”ではなく、どこに住んでいて、何が趣味で、どんな悩みがあって…といったように、よりリアルに具体的に設定することにより、それを読むことで導線設計や感情設計、仕様設計を円滑にするというものです。

でもこのペルソナ、作ったはいいものの「実は結局活用できてないんだよね」「活用したものの、なんだかしっくりこない」なんて状況になっている人、多いのでは。

作って終わりのペルソナを、”使えるペルソナ”にする合言葉が「ナナリハ」なのです。

「ナ」悩み:(ユーザーが)どんな悩みを抱えているのか

「ナ」なぜ:なぜそれを悩んでいるのか

「リ」理想:(ユーザーの)理想の姿は何なのか

「ハ」ハードル:理想に近づけないハードルとは?

先ほど設定した理想ゴールであるサイトコンセプトに対し、まずはペルソナを作成。たとえば商材が「ダイエットサプリ」で、ペルソナが「食生活が偏りがちで、彼氏からも太ったと言われ体型を気にしている、24歳女子」であれば…

「ナ」悩み:体重の増加

「ナ」なぜ:彼氏にフラれたくない!

「リ」理想:体重マイナス5kg!

「ハ」ハードル:ダイエットはめんどくさい、運動は苦手、長続きしない

といったナナリハが考えられます。そしてここからさらに導き出すべきは

「いつ」「何を伝え」「どうさせるか」

ということ。たとえば以下のように考えます。

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こうすることで、ユーザーの感情に訴えかけて情報を届けるための準備が整います。

ターゲット設計で決めたペルソナが本当に「ユーザーに提供できる価値」を必要とするのか、「強み・ユーザーへの価値」と「ナナリハ」を行き来して整合性を取ることが大切なのです。

さて、ここまでの内容は、11月28日に行われた「0からのWebディレクション講座〜設計編〜」の内容の一部。このあとにはもちろん導線設計・感情設計や仕様設計のお話もありましたが、詳しくは以下のスライドや次回の同講座で!

気になった方はぜひ日本ディレクション協会の講座に足を運んでくださいね!(スライドの下に直近のイベント告知あります)

告知

12月12日(土)

ゼロからのディレクション講座 制作編 @東京
https://www.street-academy.com/myclass/411
開発のチームとディレクションの役割について学べます!

1月24日(日)~

LIG’s DIRECTION school 2016 ~LIG with 日本ディレクション協会~
https://www.direkyo.com/ligsem/
1年間を通して、株式会社LIGさんと共同で様々な講座を開きます!

この記事を書いた人

鈴木 梢